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痔の手術、痛み軽く 独自方法を学会発表 津山第一病院・矢田理事長

矢田義比古理事長

 成人の三人に一人が患うという痔(じ)。そのほぼ半数を占める内痔核の手術で、津山第一病院(津山市中島)の矢田義比古理事長は独自の方法で従来より痛みを軽減できたと昨年十一月、東京であった日本大腸肛門病学会で発表。関係者の関心を呼んでいる。

 排便時の力みや出産で、直腸下部から肛門(こうもん)の細い静脈がうっ血し、いぼのように膨れるのが、一般にいぼ痔と呼ばれる痔核。そのうち、肛門より内側にできるのが内痔核。軽症なら薬と生活習慣の改善で治すが、痔核が肛門外に脱出し指で押し込まないと戻らなくなると手術で治療する。

 手術は、痔核に通じる血管の根元を縛って血流を止め、肛門内の上皮ごと痔核を切除することが多い。だが、矢田理事長によると、術後は排便時の痛みが強く、まれに肛門が狭くなったり傷から大量出血する例もある。

 同理事長が考案した手術方法は、痔に伴ってできる肛門外側の皮膚のたるみを一部切除し、その傷から細い電気メスなどを挿入し、痔核を裏側から焼き固める。肛門内を傷つけないのが特徴。

 二〇〇〇年から年五十例前後を執刀。同学会で発表した〇五年までの二百二十七例では、従来の手術で八割の患者が術後に訴えたという鎮痛薬の注射が必要な強い痛みは5・7%の患者に抑えられた。術後に肛門が狭くなったり、大量出血の例もない。腰椎(ようつい)麻酔で行い、手術時間は内痔核一個につき三分ほど。術後、平均四日で退院できる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年02月02日 更新)

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