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岡山大大学院グループ 自走式内視鏡開発へ 大腸がん検査特殊ゴム応用 患者の苦痛解消

大腸内視鏡の改良研究に取り組む尾上さん(右)と指導教官の鈴森教授

 大腸がん検査に使う内視鏡の改良に、岡山大大学院自然科学研究科のグループが取り組んでいる。「人の手で操作するより、苦痛解消につなげたい」と、内視鏡に巻き付けたゴムが膨張と収縮を繰り返しながら大腸内を“自走”する機器の開発が目標だ。

 大腸がんは国内で患者が年々増え、女性のがん死因ではトップ。早期発見に有効な内視鏡検査が広がりを見せるが、「大腸はS字状に曲がりくねり、内視鏡が操作中に腸壁に当たって患者が痛みを覚えることもある」(同研究科)ことから、改良を計画した。

 尾上久和さん(25)を中心にした研究は、指導教官の鈴森康一教授(機械電子工学)が開発した「バブラアクチュエータ」と呼ばれる特殊なゴムを応用。内部に四つある空洞の部屋へ順番に空気を出し入れし、膨らんだり縮んだりして動く仕組みで、尾上さんらは内視鏡全体に巻き付け、ミミズのように進ませることを考えた。

 大腸の模型で実験したところ、内視鏡のチューブが硬く途中までしか進まなかったが、今後、バブラアクチュエータの推進力を高めたり、チューブ自体を細く柔らかいものにするなどの改良を計画している。

 尾上さんは昨年秋、米国での国際学会で改良研究を報告。四月からは就職のため研究室を離れるが、「イタリアや韓国などでも自走式内視鏡の開発研究が進んでいる。後輩たちの力で、ぜひ実用化を果たしてほしい」とエールを送っている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年03月24日 更新)

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