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小型酸素濃縮器を開発 山陽電子工業 重さ従来品の半分以下 岡山県立大と共同

山陽電子工業が岡山県立大と共同開発した医療用酸素濃縮器

 放送・通信、医療機器メーカーの山陽電子工業(岡山市長岡)は、岡山県立大(総社市窪木)と共同で、小型軽量の医療用酸素濃縮器を開発した。肺疾患患者が自宅療養で酸素吸入に使用。設置場所を楽に変えられるよう重量を従来品の半分以下に抑え、安全面の機能も高めた。九月に発売し、初年度五億円の売り上げを目指す。

 濃縮器は大気中の78%を占める窒素の大半を特殊な鉱物に吸着させ、濃度90%以上の酸素をつくる装置。慢性閉塞(へいそく)性肺疾患などで呼吸機能が衰えた患者が医師の処方を受け、本体につないだチューブを鼻に入れて吸引する。

 同社によると、他社製品を含め、一般的な既存製品は三十五キロ前後あり、移動させる際の負担が大きかった。このため同大のデザイン工学の専門家から意見を聞き、外装などの木材パーツをすべて軽い合成樹脂に変更。部品配置の見直しやユニット化で内部の無駄なスペースを省いた。

 新製品は、重さ十五キロ。幅三十センチ、奥行き二十七センチ、高さ六十二センチの箱形で、サイズも従来品の約六割に抑えている。

 酸素濃度の低下や停電などの異常を知らせる音声ガイドを採用し、安全機能も高めた。酸素流量は毎分〇・二五―二リットルで、八段階に切り替えられる。操作ダイヤルをタッチパネル式に改めたり、白を基調色とし、家電風に仕上げた。

 製品名は「Dr.(ドクター)酸素」。メンテナンスのできる専門業者に販売し、医療機関にリースしたり転売、患者に使ってもらう。業者への販売価格は従来品に比べ安く設定した。保険適用のため患者の負担は変わらないという。

 国内で濃縮器の利用患者は約十四万人(同社推計)。医療・環境機器事業部長の丸山均取締役は「コンパクトで操作性、デザイン性にも優れ、需要は見込める」としている。

 山陽電子工業は一九六三年設立。二〇〇〇年、スイッチング電源メーカー・イーター電機工業(東京)の子会社になった。資本金一億六千万円。売上高四十三億円(〇七年十二月期)。従業員約百三十人。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年07月09日 更新)

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