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定位放射線治療 岡山大病院が装置導入  肺がん対象 効果高く患者負担も軽減

岡山大病院が導入したCT一体型の放射線照射装置

 岡山大病院(岡山市鹿田町)は、肺がん患者を対象に、腫瘍(しゅよう)をピンポイントで狙う「定位放射線治療」を今秋から始める。CT(コンピューター断層撮影)一体型の放射線照射装置の導入で、集中的に放射線を当てられ、高い治療効果や患者の体への負担軽減につながるという。


 同大放射線科によると、CT一体型の定位放射線治療は県内で初めて。定位放射線治療は保険適用されており、自己負担額は通常の放射線治療とあまり変わらないという。

 放射線治療は、これまでレントゲンで腫瘍と骨の位置を調べ、体の正面や背後など一定方向から放射線を照射。肺がんは呼吸や体調などで毎日位置が動くため、誤差が生じやすく、腫瘍の周りの正常組織も含め少しずつ照射するしかなかった。

 これに対し、定位放射線治療は毎日治療の直前にCTで正確に把握、多方向から放射線を当てられるのが特長。一度に四―五倍の線量を使用でき、治療期間は四―十日間で済む。従前の一カ月半より大幅に短縮できる上、正常組織への被ばくを抑えて副作用も防げる。

 対象は肺がんで、腫瘍の大きさが三センチ未満ほどの初期患者。高度な精度管理が求められるため、日本放射線腫瘍学会の認定医、放射線物理士ら計十人体制で行う。

 同大放射線科の金澤右(すすむ)教授は「肺がんへの定位放射線治療の五年生存率は七割で手術にも迫る効果がある。岡山大は手術のほか、電極針を腫瘍に刺して焼き切るラジオ波治療などもあり、患者の状態に応じて治療の選択肢が増える」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年08月01日 更新)

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