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「松岡良明賞」を受賞 津山中央病院・徳田直彦院長に聞く 県北医療を全国水準に

徳田直彦院長

 岡山県北でがん治療の中心的役割を担う津山中央病院(津山市川崎)の徳田直彦院長が、がん撲滅に貢献した個人、団体をたたえる山陽新聞社会事業団の第13回「松岡良明賞」を受けた。消化器がんを中心に約2500例の手術実績を持つ徳田氏にがん治療のあり方や県北の医療について聞いた。

  ―がんの状況は。

 「男性の2人に1人、女性の3人に1人ががんと診断される時代。高齢になるほど罹患(りかん)率も高い。当院では昨年、4735人を診療し、750人の手術を行った」

 ―県北で唯一、国の「地域がん診療連携拠点病院」になっている。早期発見・治療に向けた取り組みは。

 「微小ながんを発見できる画像診断機器を導入。今年から始めた市民公開講座は5月は約900人を集め、関心の高さがうかがえた。がんは珍しくないと自覚してほしい。患者やその支えとなる家族と良きパートナー関係を築くためには病気への理解が第一」

 ―医療をめぐる県南との違いは。

 「がんを含め患者の高齢化が目立つ。例えば心臓疾患でみれば県南よりも平均年齢が約10歳高く、手術前後の合併症も多い。ただ発想を変えれば、日本の高齢社会を先取りした治療法やマネジメントを確立でき、医師らスタッフも鍛えられる」

 ―県北の拠点病院としての役割は。

 「医師や看護師らスタッフ、ベッド数の不足は県北でも深刻。兵庫県を含めた周辺の内科、形成外科など4科に医師を派遣している。当院の昨年度の外来患者数は1日平均937人に上り、今後は開業医との連携や機能分担が一層求められる。軽症はかかりつけ医で、2、3次救急や手術を要するものは当院が担いたい。安心して全国レベルの医療を受けられる環境を整え、患者の大半は県南に行かずに済むよう“自己完結”させたい」


 とくだ・なおひこ 1969年、岡山大医学部卒。津山中央病院外科、岡山大医学部付属病院第一外科などを経て、77年津山中央病院へ。外科部長、副院長などを経て、2003年から現職。津山市上河原。63歳。高梁市出身。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年09月21日 更新)

タグ: がん医療・話題

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