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脳卒中、携帯使い遠隔診療 岡山などで実施 川崎医大・木村教授らが試験運用

携帯テレビ電話を使った遠隔医療システムのイメージ(図)

木村和美教授

 川崎医科大の木村和美教授(脳卒中科)を主任研究者とする厚生労働省研究班が、携帯テレビ電話を使い、脳卒中患者に対する遠隔医療システムの試験運用を岡山県などで行っている。専門医が不在の地方病院と専門医のいる中核病院を結び、診療時間の短縮効果などを検証。将来的に実用化を目指す。

 脳卒中患者の受け入れ態勢は、地方病院で専門医不足が深刻化するなど都市部との地域格差が生じている。実用化されれば、地方病院でも適切な治療方針を迅速に決められる。一般の携帯電話で対応できるため、導入コストが少ないなどのメリットが見込まれる。

 試験運用は9月から11月末まで3カ月間。地方病院からリアルタイムで送られた患者の状態やMRI(磁気共鳴画像装置)などの画像を、中核病院の専門医が判断、治療方針などを指示する。

 岡山県内では川崎医科大付属病院(倉敷市)を中核病院とし、高梁市立成羽病院、長谷川紀念病院(新見市)、鏡野町国民健康保険病院をつないでいる。福井県内の中核病院と地方病院1カ所でも実施。

 6―8月、これらの地方病院を訪れた脳卒中の疑いのある患者に対し、治療方針の決定までにかかった時間を調査。今後は、試験運用で得られるデータと突き合わせ、どの程度時間が短縮されたか検証する。

 このほか、当直医と勤務時間外の脳卒中の専門医を結ぶシステムの試験運用も全国4カ所で実施。岡山県内では、脳卒中科を今春開設した岡山赤十字病院(岡山市)と、金田病院(真庭市)で取り組んでいる。

 木村教授は「治療開始までに要する時間がかなり短縮できると考えられる。将来的には救急現場でも活用できるようなシステムを構築したい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年10月19日 更新)

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