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テリスロマイシン 副作用の仕組み解明 岡山大大学院、川崎教授 肺炎などの治療薬

川崎博己教授

 岡山大大学院の川崎博己教授(臨床薬学)らは、肺炎などの治療に使われる抗生物質・テリスロマイシンが副作用で意識消失を引き起こすメカニズムをラット実験で解明した。テリスロマイシンは他の抗生物質が効かない菌に対しても強い効果を持つ一方、副作用から使用条件が設けられており、今回の実験が副作用の緩和につながる成果として注目される。

 川崎教授らは、ラットの内臓血管に広がる交感神経に電気刺激を当て、テリスロマイシンが血管収縮にどう影響するかを観察。血液中に投与した場合、収縮反応がほとんど見られなかった。

 さらに交感神経から血管中に放出される神経伝達物質の量を見ると、テリスロマイシンを投与したケースは通常の約半分にとどまっていた。

 この結果、テリスロマイシンが交感神経の働きを抑えることで血管の収縮活動が鈍化。内蔵血管などに血液がとどまり、脳に十分に行き渡らず意識消失が起きる可能性が高いことを導き出した。

 川崎教授は「研究をさらに進め、既存薬の機能改良や副作用の少ない新薬の開発につなげたい」としている。


テリスロマイシン 細菌による感染症の治療薬。ペニシリン耐性肺炎球菌にも効果を発揮する半面、意識消失や肝炎といった重大な副作用を発現する可能性がある。副作用による自動車事故発生などを受けて厚生労働省は2007年、重症筋無力症患者への投与禁止など一定の使用条件を定めている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年12月07日 更新)

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