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関節リウマチの一因特定 薬剤開発へ成果 就実大研究チーム

中西徹教授

 就実大薬学部の中西徹教授(臨床診断・分子生物学)らの研究チームは、人間の細胞膜内にあるタンパク質・テトラスパニンの一種が関節リウマチを引き起こす物質の一つだと突き止めた。根本治療に向けた薬剤の開発につながる成果として注目される。

 関節リウマチは、手や足などの関節が炎症を起こして痛み、進行すれば軟骨などが破壊されて動かせなくなる疾患。関節などを覆っている滑膜内のタンパク質・シノビオリンが増大し、滑膜細胞が異常に増えて症状が進行するが、原因は解明されていなかった。

 中西教授と森宏樹助教はシノビオリンに着目し、増加を誘導する物質があると推測。特殊な分析装置で関節リウマチ患者と正常な滑膜を比較した結果、患者の滑膜表面に正常の倍以上もあるタンパク質を見つけた。

 関節に炎症を持ったラットの実験では、発見したタンパク質を機能低下させる物質を関節に注射すると、足のはれが無くなり、シノビオリンも大幅に減少していた。

 現在、ラットで薬物実験を進め、関節リウマチの滑膜が正常な状態に戻ることをデータ的に裏付ける作業を急いでいる。

 現行の関節リウマチ治療は、薬で炎症を抑える対症療法、人工関節を埋め込む手術などが行われている。

 中西教授は「シノビオリンの増大という新たな視点から原因物質が特定できた。これをターゲットとした治療薬の開発につなげたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年01月06日 更新)

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