文字 

骨髄系幹細胞で頭蓋骨を再生 岡山大病院・小林講師らマウス実験成功

小林直哉講師

 岡山大病院の小林直哉講師(消化管外科)らは、人の骨髄にあって骨や軟骨などの細胞に変化する「骨髄間葉系幹細胞」を使ってマウスの頭蓋(ずがい)骨を再生させることに成功した。10日付の米有力移植専門誌「トランスプランテーション」(電子版)に掲載される。人の骨再生につながる成果として実用化が期待される。

 同細胞は、臓器や組織ごとに備わっている「体性幹細胞」の一種。国内でも患者本人の骨髄間葉系幹細胞を使って骨や軟骨などを再生する研究が進められているが、患者によっては増殖・分化能力が低いことが課題となっている。

 小林講師らは、人の骨髄間葉系幹細胞に特定の遺伝子を導入することで、実用可能なレベルにまで増殖。試験管内でホルモン剤やグリセロリン酸など複数の化合物を加えて骨細胞になるよう誘導した後、頭蓋骨の一部を切り取ったマウスに移植した。

 3週間後に個体の組織を光学顕微鏡で観察したところ、移植した細胞が成熟した骨芽細胞になって周囲に骨を形成していることを確認。骨髄間葉系幹細胞から骨を再生できたと結論付けた。

 小林講師は「今後、より大きな動物で実験し骨再生の有効性や副作用の有無などを詳しく調べ、早期の臨床応用につなげたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年08月10日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ