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感光色素投与でアルツハイマー病改善 林原生化研が確認 治療薬開発へ

林原生物化学研究所がアルツハイマー病の改善効果を確認した感光色素

 林原(岡山市北区下石井)グループの林原生物化学研究所(同)は8日、写真フィルムの増感剤などに使われる感光色素の一種に、アルツハイマー病の症状を改善させる作用があることを、動物実験などで確認したと発表した。新たな治療薬の開発につながる世界初の成果。同研究所は「5、6年後の実用化を目指したい」としている。

 同研究所はこれまでにシアニン系感光色素の一種が神経細胞を保護したり細胞の変成を抑制し、小脳変性症や脳梗塞(こうそく)といった脳神経障害に効果があることを動物実験などで確認。アルツハイマー病に対する効果も調べていた。

 アルツハイマー病の症状を発症するよう遺伝子操作したマウスに、感光色素を投与し実験。プールを泳がせ、水面下の足場に到達する時間を調べたところ、無投与マウスが認知機能障害により、時間短縮できないのに対し、投与マウスは1日ごとに短縮。3日目では約半分の時間で到達し、正常なマウスと同程度の結果が得られた。

 神経モデル細胞を使った試験管実験でも、アルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドβ(ベータ)ペプチドを加えた場合、通常は約6割の細胞が死滅。色素を添加すると、ほとんどの細胞が生存し、増殖するケースもあった。

 こうした結果から、病気の進行を抑えるだけでなく、改善させる効果が期待できるという。研究成果は17日に名古屋市で開かれる日本神経科学大会で発表する。

 感光色素 写真フィルムの増感剤やCD―R、DVD―Rの記録材料などの工業用途のほか、免疫活性や抗菌などの薬理作用を持つ色素もあり、医薬品や化粧品にも使われている。林原生物化学研究所では2万種類の感光色素を保有している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年09月09日 更新)

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