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新型肺炎 怖がり過ぎず予防策を 岡山県医師会・国富理事に聞く

 感染者が各地で次々と現れ、国内初の死者も確認されたため、新型コロナウイルスに対する不安が広がっている。岡山県医師会の国富泰二感染症担当理事(78)は、かつて流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)と比べ、現時点で危険性が高いとは言えないことなどから「各自でできる予防策を取りながら、必要以上に怖がらず、自分の抵抗力を高められるよう落ち着いて生活することが大切だ」と呼び掛ける。

 ―国内で新型コロナウイルスは広がっているのか。

 すでにウイルスは拡散していると考えるのが妥当だろう。2002~03年に流行し、今回と似たコロナウイルスが原因のSARSより現時点で致死率は低いとみられる。そこまで怖がることはない。

 厚生労働省は水際対策から、感染者を治療する方針に軸足を移している。発熱、せきなどで発症が疑われる場合、「帰国者・接触者相談センター」に指定されている各保健所に連絡してほしい。必要な場合は専門外来で検査を受け、適切な治療が受けられる体制になっている。

 ―感染するとすれば、どのような場合が考えられるか。

 新型コロナウイルスの感染は、インフルエンザウイルスと同様に、いわゆる飛まつと、接触が原因とみられる。飛まつは、ウイルスを持っている人のせきやくしゃみで飛まつが飛び、含まれるウイルスが鼻や口から体内に入り込むことで感染する。接触は、感染者が触れた場所を触り、そこでウイルスが手に付いて間接的に感染する場合。例えば、電車のつり革、エレベーターのボタン、階段やエスカレーターの手すり、ドアのノブ、クレジットカードなどが考えられる。

 ―今のところ新型コロナウイルスにはワクチンや治療薬がない。予防が重要になるが、具体的な対策は?

 アルコール消毒が最も効果的。ボトルから噴射するタイプの消毒剤を適量手に受け、手首から先に丁寧にすり込めば、手に付着するウイルスをかなり減らすことができる。外出先から家や職場に戻った際、アルコール消毒する人もいると思うが、携帯用の小さなスプレーやシートタイプのものを持ち歩き、小まめに使っても効果がある。

 ―マスクはどうだろう?

 空気中のウイルス粒子は花粉や細菌に比べてはるかに小さい。マスクでウイルスをシャットアウトし、感染を防ぐことは難しい。ただマスクをすることで、ウイルスが付着しやすい手や指で、(ウイルスが侵入する)口や鼻を不用意に触りにくくする効果はある。

 また感染した人は必ずマスクを着用してほしい。飛まつの飛散を防ぎ、感染拡大の可能性を減らせるからだ。

 ―手洗いも予防策としてよく挙がる。

 手洗いは、流水で20秒以上、手の隅々まで洗わないとウイルスが落ちない。小まめに手を洗えば、ある程度の効果はあるだろうが、手洗いにあまり時間をかけると、肌が荒れてウイルスや細菌が増殖しやすい環境になる。この点に注意し、「洗いすぎ」には気を付けてほしい。

 ―日常生活で気を付けることは。

 しっかりと睡眠時間を確保し、栄養バランスの取れた食事をすることが大事。規則正しい暮らしを心掛け、抵抗力を高めて。また人混みに出掛ける回数を減らせば、感染のリスクは下がる。不要不急の外出は控えた方がよい。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2020年02月19日 更新)

タグ: 感染症

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