文字 

第12回 心臓病センター榊原病院 小切開手術 杭ノ瀬昌彦心臓血管外科主任部長 数少ない国内実施例

新手術法に挑戦する杭ノ瀬主任部長

杭ノ瀬昌彦心臓血管外科主任部長

 杭ノ瀬部長の心臓手術は常に進化する。これまで心臓を止めずに行うオフポンプ手術を多く手がけ、千例の心臓手術のうち約二百例。体力の弱い高齢者には負担が軽くメリット大。拍動する心臓の血管を〇・五ミリ間隔で縫うテクニックがいる。

 そして今は小切開手術。通常、胸の真ん中を二十五センチ切り開き、心臓が見えるようにして手術するが、小切開手術は胸の 肋骨 ( ろっこつ ) の間に五センチ、他に一センチの小穴が一、二カ所。足の付け根、首から細い管を入れ人工心肺をつなぐ。手術対象は僧帽弁、心房中隔欠損症、大動脈弁置換など。僧帽弁手術は小穴から入れたカメラを見ながら、長さ三十センチのロボットアームを親指、人さし指で操作、直径三―四センチの僧帽弁の切れたり、穴の開いた病変を縫い合わせる。

 小切開手術は三年間で四十六例実施。利点は痛みが軽く、感染症リスクが少なく、社会復帰が早いこと。最も早い退院は手術二日後、平均で一週間後。国内ではまだ、慶応大学病院や榊原病院など数少ない。昨年五月には国内初の大動脈弁手術を実施した。「新しい手術法には必ず利点があり、患者のためになる」と常に挑戦する姿勢を持ち続ける。

 昨年、同病院の心臓手術は四百二十例、そのうち杭ノ瀬部長は約二百例を執刀。岡山を代表する心臓血管外科専門医。四十六歳。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年04月29日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ