文字 

高精度画像で遠隔診断実験 笠岡第一病院と真鍋島

真鍋島から送られてきた高精度の画像をチェックする医師ら

笠岡市横島、笠岡第一病院と東京工業大などは二十七日、遠隔地にいる患者の病変部などの診断に有効な、高精度の画像を再現できる「ナチュラルビジョン遠隔医療システム」を使い、真鍋島の市立診療所から第一病院に皮膚画像などを送信、診断する実証実験を行った。第一病院は四月から市立診療所に医師を派遣。今後も実験を重ね実用化を目指す。

 同システムは光のスペクトルを解析することで画像を再現。六原色のハイビジョンカメラで撮影する。通常の三原色によるシステムに比べ、自然の状態の被写体の色、質感を忠実に表示できるため、患者の顔色や患部の様子から的確な診断が期待できるという。

 笠岡諸島の無線ブロードバンド(高速大容量)通信を利用。診療所にいる島民の健康状態を、第一病院にいる専門医が診断するとの想定で、撮影した腕や手の動画と静止画像を送った。専門医は患者に体調を問いかけながら画面を確認し、所見を述べるなどのやりとりをした。

 橋詰博行院長は「実物に近い色で質感もあり、血管や関節のしわまでよく分かった。双方向でやりとりでき、島しょ部など医師不足に悩む地域の医療サービスの向上に役立つ」と評価した。

 今回の実験は、東京工業大など四機関が情報通信研究機構(東京)の委託を受けて取り組む「マルチスペクトル映像収集・伝送技術の研究開発」の一環。岡山画像診断センター(岡山市)と結び、日常的にCTなどの画像診断を依頼している第一病院と連携し、二〇〇八年四月から手術中の画像などを録画。遠隔診断に可能な画質が得られるかを確認してきた。

 東京工業大の山口雅浩准教授(画像工学)は「簡単に操作できる撮影機器などの研究、開発を進め、患者が安心できる生活に貢献できれば」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年03月28日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ