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第17回 万成病院 増える心の病 啓発や相談態勢を強化

地域連携室で相談に乗る病院スタッフ

李陽明副院長

 ストレス社会を反映し、心の病が増えている。李陽明副院長は「三人に一人が生涯で何らかの精神疾患にかかるという研究もあり、誰もがなる可能性がある」と指摘する。

 外来を訪れる患者は統合失調症やうつ病、アルコール依存症といった代表的な病気以外に適応障害や人格障害、不安障害、発達障害などさまざま。最近は心的外傷後ストレス障害(PTSD)やパニック障害を訴える人も増えているが、明確に病気と断定できない例もある。

 「インターネットで調べて自己診断しているが、正常な心理反応から出る『非精神疾患』も少なくない」と李副院長は説明する。

 例えば、失恋して夜眠れない、悲しい出来事に遭遇してふさぎ込む―のは普通の反応。だが、それが過剰だと病気のような状態に。ごく短期間の相談や薬の一時的な服用で快方に向かう例も多い。

 早い段階で受診すれば治るのも早い。病気への理解を広げようと、二〇〇三年から病院で地域公開セミナーを開いているほか、〇五年には「地域連携室」を設置。家族や地域の人から幅広く相談に乗っている。

 「本人が受診を拒否している例も多い。家族にまず病気を正しく理解してもらい、本人につなげていく必要がある」と同室の菅原明美課長は言う。

 同室ができ、保健所や地域包括支援センターなどの機関と結び付きが強くなったほか、民生委員からも相談が寄せられる。「連携プレーで少しでも早く受診してもらい、より良い社会生活を送ってほしい」と話す。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年06月03日 更新)

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