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冬に多発 心臓病に注意を 榊原病院に聞く(3) 320列CT 中四国で初めて導入

320列CTの前で導入の効果を語る津野田放射線科部長

320列CTで撮影した心臓の画像。冠動脈の周辺がくっきり写っている(心臓病センター榊原病院提供)

 冠動脈の検査で、心臓病センター榊原病院が昨年四月、中四国で初めて導入したのが最新の三百二十列コンピューター断層撮影装置(CT)。狭心症や心筋梗塞が疑われる月二百数十人を検査しており、津野田雅敏放射線科部長は「従来の六十四列より鮮明な画像が短時間で撮影でき、検査の精度が上がった」と威力を語る。

 三百二十列CTは体内の断面を読み取る機器の数を従来の五倍に増やした。その結果、六十四列CTで十秒前後かかった心臓全体の撮影が、体の周りをエックス線照射装置が一回転するわずか一秒弱で終わり、心臓の立体画像も表示する。

 心臓は鼓動を繰り返し止められないため、撮影時間が短いほどぶれの少ない画像を得られる。さらに、津野田部長は「検査に必要な息止め時間が短く、患者も楽になった。特に不整脈の症状が強い患者は助かる」とメリットを挙げる。

 冠動脈検査の決め手は手首からカテーテルを入れ、冠動脈に造影剤を流しエックス線撮影する血管造影。ただ、造影剤注入が静脈注射で済むCTに比べ、患者の体の負担は大きい。

 一方、CTの欠点だった被ばくの多さも、三百二十列は撮影時間の短縮に伴い従来の三分の一から五分の一に減り、これまで検査をためらった若者、子どもにも勧められるという。造影剤の投与も少なく腎臓への負担が軽い。ただ、動脈硬化で石灰化が進んだ部分の撮影は難しい。

 津野田部長は「狭心症や心筋梗塞治療は血管造影が欠かせないが、治療を要する患者のスクリーニング(ふるい分け)ならCTで十分だろう」と語っている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年01月12日 更新)

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