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RSウイルス感染症(笠岡第一病院 西岡奈穂・小児科医長) 乳幼児は特に注意。十分な水分補給、加湿を

笠岡第一病院 西岡奈穂・小児科医長

 RSウイルスは年齢を問わず急性の呼吸器疾患を生じ、乳幼児では細気管支炎と肺炎を起こす代表的な原因です。冬から初春にかけて流行しますが、近年は通年検出されるようになっています。潜伏期は2~8日で、飛沫(ひまつ)や汚染された分泌物との接触により感染します。

 ほとんどの小児は、2歳までに1回は罹患(りかん)し、再感染を繰り返し次第に症状は軽くなります。乳幼児は重症化しやすく、鼻汁、せきから始まり、発熱を伴い、下気道感染をきたすと、次第に息を吐く時にゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)が現れ、多呼吸や努力呼吸がみられるようになります。乳児期早期では何となく元気がない、哺乳低下や無呼吸発作などで発症して重篤化することもあります。

 迅速診断キットがあり、鼻汁を使って20分ほどで診断できます。特効薬はなく、治療は十分な水分補給、加湿、排痰(はいたん)促進などの対症療法となります。経口摂取低下や呼吸状態が悪いときは入院し、輸液や酸素投与などのほか、人工呼吸管理を要することもあります。

 早産児、複雑な先天性心疾患や肺疾患、特に未熟児慢性肺疾患や免疫を低下させる治療を行っている乳幼児では、死に至る危険性もあります。対策として、シナジスという予防接種があります。抗体をつくらせる一般的なワクチンと違い、抗体を接種してかからないようにするため、流行期の間、月1回の筋肉注射が必要です。

  笠岡第一病院(0865-67-0211)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年12月06日 更新)

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