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20、30代の2回接種推進を 岡山大病院感染制御部長 塚原医師

「マスク着用など基本的な感染対策はオミクロン株にも有効」と話す塚原部長

 新型コロナウイルスの流行「第6波」が到来した。経口薬など治療手段も増えてきた中、新変異株「オミクロン株」にどう対応すべきか。岡山大病院(岡山市)新型コロナ対策チーム会議の一員で、感染制御部長の塚原宏一医師(61)は「治療薬はまだ対象者が限られる。当面、ワクチン接種率向上や従来の感染対策を徹底すべきだ」と呼び掛ける。

 ―県内では感染者が過去最多を更新した。

 デルタ株からオミクロン株へ置き換わりが進んだ。冬本番となって建物内の換気が不足し、年末年始の帰省や旅行で人の流れが増えたことも原因だろう。

 ―オミクロン株の症状や重症化の恐れは。

 県内医療機関のオミクロン株感染者の多くは、ワクチンを2回接種済みの「ブレークスルー感染」。症状は発熱、のどの痛み、鼻水、せき、頭痛、倦怠(けんたい)感の順に多く、ワクチン効果からか軽症者が多い。ただ、デルタ株ほど重症化しないというデータは十分集まっていない。油断は禁物だ。県内感染者(6~12日)は20、30代がほぼ半数。今後、重症化リスクの高い高齢者層へ感染が及ぶことが心配だ。第5波までの経験を踏まえると、1月末ごろ新規感染者数がピークを迎え、その2、3週間後に重症者が増えると予想している。

 ―医療は大丈夫か。

 ワクチン接種が重要だ。オミクロン株に対して感染予防効果は下がるものの、重症化は防げる。3回目接種も大切だが、まずは2回の接種を徹底すべきだ。特に2回目接種率が全体平均より10ポイントほど低い20、30代の接種を進める必要がある。重症者が減れば、医療逼迫(ひっぱく)も防止できる。

 ―一人一人が感染をどう防げばよいのか。

 オミクロン株にも基本的な感染対策は有効だ。マスク着用、手指消毒、3密回避、まめな換気などを粘り強く続けてほしい。

 ―中和抗体薬や経口薬など国内で使用できる治療薬が増えた。

 対象が重症化リスクのある人などに限られ、感染者全員に使用できるわけではない。インフルエンザ治療薬タミフルのような多くの人に高い効果があり、豊富に供給できる薬はまだない。今のところ、感染予防に力を入れるのが、最も有効な対策だ。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2022年01月20日 更新)

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