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倉敷成人病センター 緩和ケア病棟を開設 県南西部のニーズに対応

病室は落ち着いた雰囲気。夜も家族と一緒に過ごすことができる。トイレやシャワー、洗面台もついている

簡単な調理もできる食堂・談話室

梅川康弘病院長

今村牧夫診療支援部長(薬剤科長)

竹本由紀子看護師長

 倉敷成人病センター(倉敷市白楽町)は緩和ケア病棟を開設した。進行がんなどによる心身の苦痛を和らげる専門的な治療を提供し、残された時間を自分らしく過ごしてもらう。岡山県内では緩和ケア病床が岡山市に集中。手薄となっている県南西部エリアでのニーズに応える。

 緩和ケア病棟は14床で、2月にオープンした。全室個室で部屋代は無料となっている。各部屋にトイレやシャワー、洗面台などがついていて、タオルは毎日無料で交換する。病棟には簡単な調理ができる食堂・談話室、家族控室、寝たまま入浴できる機械浴室、家族浴室もある。

 病棟の看護師は、緩和ケア認定看護師1人を含む15人。竹本由紀子看護師長は「緩和ケアに対する思いが強いスタッフが集まった。患者さんそれぞれの人生や価値観に思いを馳せながら、手厚い看護で寄り添いたい」と話す。

 倉敷成人病センターは、健診センターでがんの早期発見に努め、手術や薬物、放射線による集学的治療を施すなど、がん診療に力を入れている。今回、緩和ケア病棟を開設したことで、患者を最初から最期まで見守る体制を整えた。

 がんが進行すると耐えがたい痛みやだるさ、不安に見舞われることが多い。今村牧夫診療支援部長(薬剤科長)は「一日一日を大切に過ごすため、患者さんやご家族の希望を聞きながら、薬剤などを調節して昼間は平静に、夜はきちんと寝られるような生活リズムをつくっていきたい」と言う。

 中国四国厚生局のホームページなどによると、岡山県内で緩和ケア病棟を開設しているのは倉敷成人病センターを含めて9施設。岡山市で6施設、倉敷市は3施設となっていて、地域格差も指摘されている。梅川康弘病院長は「緩和ケア病床が不足しているエリアの現状の改善に貢献できれば」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2022年03月07日 更新)

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