文字 

(4)親知らずとは? 抜いたほうがいい? 抜かなくてもいい? 津山中央病院歯科口腔外科部長 矢尾真弓

津山中央病院の歯科口腔外科チーム

矢尾真弓氏

 ■親知らずとは?

 津山中央病院歯科口腔外科では、津山市を中心としたかかりつけ歯科では対応が困難な症例の治療を行っています。その中でも親知らずの抜歯が全体の約4割弱を占めています。

 親知らずは、10歳頃に顎(あご)の骨の中で形ができはじめ、20歳前後でお口の中に生えてきます。しかし、親知らずは一番最後に生えてくるため、生える頃には顎の中に正常に生えるための十分な場所が無く、骨の中に埋まったままの生えてこない人や、横や斜めに生えてくるような人が多く、完全に真っすぐ生える人のほうが少ないです。

 ■親知らずは抜いたほうがいい? 抜かなくてもいい?

 「親知らずだから」といって全て抜く必要は無いと思います。上と下の親知らずが真っすぐ生えていて、きちんと噛(か)み合わせている場合や、親知らずの手前の歯が抜けていて、親知らずをブリッジの土台とする場合などに関しては、抜歯しなくてもよいと思われます。

 ■抜歯したほうがいい親知らずは?

 (1)親知らずが中途半端に生えていると歯磨きが十分にできずに汚れがたまり、親知らずが虫歯になったり、もしくは親知らずの周りの歯茎が腫れて痛みがある場合。

 (2)親知らずの手前の歯が、中途半端に生えている親知らずの影響で虫歯になっている場合。

 (3)親知らずが原因で顎の骨の中に嚢胞(のうほう)(病的な袋状の疾患)などが発生している場合。

 (4)歯並びを悪くしている場合。

 このように何かしらの悪影響を及ぼすような親知らずは、抜歯したほうがよいと思われます。

 ■最後に

 親知らずを抜歯する際、多くは、歯茎を切って、骨を削除し、歯を割って抜歯を行います。親知らずの抜歯には、顎骨(がっこつ)内にある神経が傷つくと下唇付近の麻痺(まひ)が生じるなどのリスクが伴います。

 また高齢者や基礎疾患のある場合も抜歯後に出血が止まらなかったり術後に感染を引き起こしたりするリスクを伴いますので、歯科医師より十分に親知らず抜歯の説明を受けた上で、抜歯をするかしないかの決定をされたほうが望ましいと考えます。

     ◇

 津山中央病院(0868―21―8111)

 やお・まゆみ 福岡歯科大学卒業、岡山大学大学院口腔顎顔面外科学修了。倉敷広済病院などを経て2019年4月から津山中央病院歯科口腔外科勤務。日本口腔外科学会認定医、日本口腔外科学会専門医、日本口腔科学会認定医取得。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2022年11月07日 更新)

タグ: 津山中央病院

ページトップへ

ページトップへ