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倉敷成人病センター 最新手術支援ロボ導入 患者負担さらに軽減

シングルポートが特徴のダビンチSPによる手術=5月15日、倉敷成人病センター

ダビンチSPのカメラと鉗子。体の奥深くまで伸び、自在に動く

安藤正明理事長

 倉敷成人病センター(倉敷市白楽町)は、手術支援ロボット「ダビンチ」の最新機種「ダビンチSP」を導入した。従来型はロボットアームが4本だが、ダビンチSPは1本だけの「シングルポート」。手術の傷跡が目立たず、患者の負担はより少ないという。同病院は、ダビンチ3台体制で低侵襲手術に取り組む。

 ダビンチSPは、アームに取り付けられた、金属製の筒のカニューラ(外径2・7センチ)を通し、カメラと3本の鉗子を体内に挿入して手術を行う。カメラは先端に近い部分に関節があり、見たい方向に向くよう角度を操作できる。3本の鉗子も互いに触れあったりしないよう柔軟に曲がる。

 米国のインテュイティブサージカル社が製造し、国内では1月から販売が始まった。倉敷成人病センターは4月30日に導入。国内では3番目、近畿地方以西の医療機関では初めてとなった。

 倉敷成人病センターでの1例目の手術は子宮全摘術で、5月15日、30代の子宮腺筋症の女性に対して行った。日本ロボット外科学会認定の国際A級ライセンスを持つ安藤正明理事長(ロボット先端手術センター長)が執刀し、2時間ほどで終了した。

 術後、安藤理事長は「操作に慣れが必要だが、1円玉1個半くらいの大きさの傷でかなり広範囲の手術ができる。術後の痛みも少なく回復も早い。幅広い症例で使用していきたい」と話した。

 倉敷成人病センターは2013年、岡山県内の民間病院として初めてダビンチを導入した。21年にはロボット先端手術センターを開設し、ダビンチ2台体制で患者の体への負担が少ない低侵襲手術を展開してきた。これまでに婦人科と泌尿器科で約3千件のロボット支援下手術を行い、昨年度は690件を実施。全国的にもトップクラスの実績を上げている。

 安藤理事長は「当院は婦人科医療に関しては日本のトップランナーとの自負がある。医療用ロボットが急速に進歩する中、常に最先端の技術を取り入れ、患者さんにより高度な医療を届けたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2023年06月19日 更新)

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