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池田清明氏(地元出身洋画家)のギャラリー開設 笠岡第一病院1階待合ロビー

「姉妹」を鑑賞する池田氏(右)と宮島理事長

談笑する宮島理事長(右)と池田氏。作品は右から「村娘の衣装で」「お手てつないで」

大勢の美術ファンらに囲まれ笑顔を見せる池田氏

 笠岡第一病院(笠岡市横島)は、同市神島出身の洋画家池田清明氏(72)=神奈川県鎌倉市=の作品を飾る「ふるさとギャラリー」を1階待合ロビーに開設した。

 池田氏は笠岡高卒。大阪府で高校の美術教諭を務めながら制作を続け、2000年から画業に専念。ワコースポーツ・文化振興財団(笠岡市)の「ワコー文化賞」を01年に受賞。写実表現を追求した清澄な人物画で知られ、大阪芸術大の教授も務めた。一水会運営委員、日展特別会員でもある。母校の神内小(同市)では図画工作を頑張った児童をたたえる「清明賞」が設けられている。

 同院は、池田氏が創設者・藤井大輔氏(1922~93年)と絵画を通じた交流があったことが縁で、2003年から作品を提供してもらい、常時、5点を入れ替え展示してきた。今回、20周年を迎えたのを機に、1階の待合ロビー全体に作品を公開することになった。

 作品は「姉妹」「村娘の衣装で」といった大作や、季節感が漂う静物画など13点。今後も寄贈を受け、春夏と秋冬の年2回、季節にマッチした作品に掛け替える予定。

 池田氏を招いた作品のお披露目式が10月28日、通院患者や絵画愛好者ら170人が出席して院内の多目的ホールで開かれた。市立竹喬美術館の上薗四郎前館長が代表的な作品の特徴について講演。池田氏が家族と共にお礼を述べた。式の終了後、出席者は作品をじっくり鑑賞していた。

 同院の宮島厚介理事長は「画伯の絵は、患者にとって必ずしも楽しい空間とはいえない病院のホールに潤いを与えてくれる。多数の作品を提供していただき、ご厚意に感謝している」と言う。

 池田氏は「ワコー賞をいただいたり、竹喬美術館が個展を開いてくださったり、古里の温かい支援は創作の励みになっている。毎日、何百人もの通院者の方々に作品を見ていただけるなんて、うれしい限り。ここは最高の“美術館”です」と話した。

 同院は近年、患者に安らぎを感じてもらうためホスピタルアートに力を入れている。小児科外来には他の画家の協力を得て動物の乗った列車や線路が壁面一面に描かれるなど、院内各所にさまざまな絵画が公開されている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2023年11月20日 更新)

タグ: 笠岡第一病院

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