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赤ちゃんにやさしいNICU 岡山医療センター認定

モニター音や部屋の明るさを調整し、赤ちゃんに快適な環境を整えている岡山医療センターのNICU

「赤ちゃんにやさしいNICU」の認定証を受け取る久保院長(左)=8月、広島市

 国立病院機構岡山医療センター(岡山市北区田益)が、NICU(新生児集中治療室)での治療実績や母乳育児への長年の支援が評価され、一般社団法人日本母乳の会(東京)が今年創設した「赤ちゃんにやさしいNICU」に認定された。全国の認定施設は同院を含め7施設。中四国、九州では唯一となる。

 同センターは、前身の国立岡山病院時代から新生児医療に貢献。WHO(世界保健機関)とユニセフ(国連児童基金)が1991年に創設した「赤ちゃんにやさしい病院」の国内第1号に認定された。

 両機関が低出生体重児、早産児にも母乳育児を広げていくことを提唱したのを受け、2015年ごろから欧州各国で「赤ちゃんにやさしいNICU」の認定がスタート。国内では今年、両機関から認定審査業務を委嘱されている日本母乳の会によって制度が創設された。

 同センターの新生児センターにはNICUが18床、NICUから移行して治療を継続するGCU(新生児回復治療室)が12床あり、24時間365日体制で新生児を受け入れている。

 母乳育児に力を入れているのは、母乳は人工乳よりも感染症や重病にかかるリスクを減らし発達を促すことが医学的に証明されているため。新生児の誕生直後から搾乳や授乳の方法を母親に伝えている。

 授乳を通じて母子がぬくもりやにおいを感じ合うことで、新生児は安らぎを感じ発達が促進され、母はオキシトシンやプロラクチンなどのホルモンの分泌を介して次第に母乳が出やすくなる好循環につながるという。

 新生児への感染症のまん延防止に最善を尽くしながらNICUへの立ち入り制限を徐々に緩和してきたことも評価された。04年までは両親の面会を午後の9時間に限定していたが、05年からは24時間可能にし、07年からは祖父母、兄弟も面会できるようにしている。

 ディベロップメンタルケアという新生児にとってストレスのない快適な環境を整えることにも気を配る。アラームやモニター音を下げ、照明を落とし、不自然な体勢になったときはすぐに戻したり、手足をマッサージしたりしている。

 認定式は8月末、広島市内で行われ、久保俊英院長が同会の吉野和男代表理事から認定証を受け取った。

 新生児科の中村信医長は「NICUのスタッフだけでなく、医療センターで働く人たちの母子への熱い思いが評価され、うれしい。赤ちゃんが健康で家族と共に幸せに過ごしてもらえるよう、最大限のサポートを続けたい」と話す。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2023年12月04日 更新)

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