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手足の震え 治療連携 岡山旭東、岡山大学、倉敷平成の3病院 中国地方唯一「FUS」 医師出向き機器活用

FUSの治療装置を前に連携の意義を語る(右から)島津、佐々木、牟礼の3医師

 岡山旭東病院(岡山市中区倉田)、岡山大学病院(同北区鹿田町)、倉敷平成病院(倉敷市老松町)の3病院が連携し、手足の震えの最先端治療に取り組んでいる。専用機器を中国地方で唯一導入している岡山旭東病院に、岡山大学病院と倉敷平成病院の医師が出向いて対応している。

 最先端治療はFUS(MRガイド下集束超音波治療)と呼ばれる。患者は超音波が出るヘルメットをかぶって局所麻酔をしてMRI(磁気共鳴画像装置)に入る。医師が震えの原因となっている部位を確認しながら、超音波で熱凝固して症状を改善させる。治療に要する時間は3時間程度。術前を含め6日間入院する。

 岡山旭東病院は2021年4月にFUSを導入。毎週土曜に同大学脳神経外科の佐々田晋助教と岡崎洋介医師による専門外来(予約制)を設け、患者が治療に適応するか事前の検査をする。機能的定位脳手術の専門である同科の佐々木達也助教と倉敷平成病院の牟礼英生・倉敷ニューロモデュレーションセンター長が週替わりで治療。岡山旭東病院脳神経外科の島津洋介主任医長が術前術後の全身管理を担当している。

 これまでの治療実績は約80件。ほとんどのケースで症状が大幅に改善した。中国地方では岡山旭東病院でしか治療できないため、中四国各県から患者が訪れているという。

 震えは、本態性振戦とパーキンソン病によって起こることが多い。このうち、本態性振戦は明らかな病変や原因がなく、65歳以上で5~14%、40歳以上でも4%に発症するとされる。

 治療は、頭蓋骨に穴を開けて熱凝固針を差し込み高周波で焼く高周波凝固術(RF)、同様に頭蓋骨に穴を開けて電極を埋め電気刺激を与える脳深部刺激療法(DBS)という外科手術が確立されている。

 これらと比べてFUSは放射線による被ばくがなく、皮膚を切開しないため、出血や感染症のリスクが小さく、患者の負担も軽い。

 島津、佐々木、牟礼医師は「震えの治療の選択肢が増えた意義は大きい。看護師やリハビリを指導するスタッフを含め、全員で患者を支えたい」と口をそろえる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2024年02月19日 更新)

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