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糖尿病関連腎臓病の治療標的発見 岡大グループ、治療薬開発に期待

三瀬広記助教

 岡山大の三瀬広記助教(腎・免疫・内分泌代謝内科学)らの研究グループは、糖尿病関連腎臓病(DKD)の悪化メカニズムを解明し、治療のターゲットとなるタンパク質を発見した。病状の進行抑制に向けた治療薬の開発につながる成果として期待される。

 DKD患者は、国内に500万人以上いるとみられる。特効薬がないため人工透析が必要となる最大の原因になっており、うち約13万人が透析を行っているという。

 三瀬助教らは特効薬の開発を目指し、DKDのマウスを使って2019年から実験を始めた。老廃物を排出する腎臓の機能を維持している細胞から、ミトコンドリアを取り出して解析。エネルギー生成に重要な役割を果たすタンパク質複合体内の一部「NDUFS4」の量が正常値の半分に低下していることを発見した。遺伝子操作で「NDUFS4」の量を増やすと病状の進行が抑えられた。

 実際のDKD患者の腎臓組織を解析しても同様に「NDUFS4」の低下がみられた。その量を増やす新薬の開発に向け、今後は別の細胞でも実験を続ける。

 透析は1日4時間、週3回受けるのが基本。三瀬助教は「透析で生活が激変し、つらい思いをしている患者さんをたくさん見てきた。研究を治療薬の開発につなげ、早く届けたい」としている。

 研究成果は3月、英科学誌「ネイチャーコミュニケーションズ」電子版に掲載された。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2024年04月11日 更新)

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