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中四国8大学26病院 がん専門医養成の新組織発足へ 高レベル治療どこでも

中国・四国がんコンソーシアム参加施設(表)

 岡山大が中心となり、中四国の大学とがん診療連携拠点病院が国公私立の枠を超えてがん治療に携わる医師らを養成する連合組織「中国・四国がんコンソーシアム」が9月に発足する。化学療法や緩和医療など各拠点病院で不足している分野を補い合って人材を育て、配置することで、患者がどの地域で受診しても高レベルの治療が受けられる体制づくりを目指す。同様の組織としては全国最大規模となる。

 同コンソーシアムは岡山大、川崎医科大、香川大など六県八大学と、岡山済生会総合病院(岡山市)広島市民病院(広島市)香川県立中央病院(高松市)など九県二十六がん診療連携拠点病院で構成する。

 がん薬物療法専門医、放射線治療医、緩和医療医、腫瘍(しゅよう)外科医のほか、がん専門の薬剤師や看護師など八つの養成コースを設定し、大学ごとに二~八コースを設置。学生(院生)には大学間の単位互換や教員の交換で臨床・研究科目をバランス良く習得させるほか、地域にあるがん診療連携拠点病院の中堅医師を受け入れ、最新の医療知識と技術を学ばせる。

 年間計七十人を養成する計画で、修了者には「がん専門医療人」として各拠点病院でがん治療の推進役を担ってもらう。

 同コンソーシアムは、二〇一一年度までの五年間事業。全国のがん治療の均一化を図る国の「がん対策基本法」に合わせた取り組みの一つで、文部科学省の事業「がんプロフェッショナル養成プラン」の補助を受け設立した。これまでに東京大や大阪大、九州大など十八大学が中心となったプランが選定されている。

 事業推進責任者の田中紀章岡山大大学院医歯薬学総合研究科長は「がんの専門医育成と同時に現役医師の再教育も盛り込んでおり、それぞれが推進役を担えば中四国のがん治療水準の向上につながる。各大学の特色を生かした取り組みを進めたい」と話している。




ズーム

 がん診療連携拠点病院 医師や設備など専門的ながん医療が提供できる体制が整い、患者の相談に応じる部門や緩和ケアチームが設置されているなどの要件を満たした施設。2007年1月末現在、286病院が厚生労働省から指定されている。


 がん対策基本法 全国どこでも質の高い治療を受けられる体制づくりを目指し、2007年4月施行。医療機関の整備や人材の育成で、医療や情報の地域格差を是正するのが大きな柱。同法に基づき、10年以内に75歳未満のがん死亡率を20%減らすことなどを柱とする「がん対策推進基本計画」が6月に閣議決定された。各都道府県は来春までに地域の実情に応じた計画づくりを進める。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年08月10日 更新)

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