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精神障害者に地域支援もっと必要 倉敷で家族会の全国大会開幕

精神障害者を地域で支える必要性を訴える山本昌知医師

 精神障害者の家族会でつくる全国精神保健福祉会連合会(みんなねっと)の全国大会(同連合会、NPO法人・岡山県精神障害者家族会連合会主催)が19日、2日間の日程で倉敷市中央の市芸文館で始まった。初日は約千人が参加し、偏見の強さなどから長期入院している精神障害者の数を2020年度末までに最大3万9千人減らす国の方針を踏まえ、地域で求められる支援の在り方を探った。

 統合失調症などで精神科に1年以上入院している人は14年時点で18万5千人に上る。精神障害者を長年、地域で支えてきた元こらーる岡山診療所所長の山本昌知医師は基調講演で「精神科疾患は人間関係など環境との摩擦で起きるのに、私たちの社会は安易に医療に頼りすぎたのではないか」と問題提起し、「患者さんに『共に生きよう』と言ってくれる“人薬”がもっと必要」と訴えた。

 兵庫県豊岡保健所の柳尚夫所長は、地域で暮らす精神障害者を「ピアサポーター」として病院に派遣し、患者の退院意欲を高める取り組みについて報告。14年度から3年間関わった患者の6割強に当たる28人が退院できたことを紹介した。

 「入院患者は同じ病気の仲間と一緒に外でお茶を飲むなどして地域で暮らしたい、という気持ちが高まる。うまく退院できれば病院の意識も変わる」と柳所長。国の制度の活用など具体的な支援の枠組みも示して取り組みを促した。

 20日は、障害者が地域で孤立しないための支援や「親亡き後」の課題などをテーマにした分科会を行う。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年10月19日 更新)

タグ: 精神疾患

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