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国際腫瘍マーカー学会賞を受賞 武田岡山大名誉教授 肝臓がん研究

武田和久氏

 岡山大名誉教授で、介護老人保健施設・里仁苑(三原市)副施設長の武田和久氏(76)が、臨床、基礎腫瘍(しゅよう)学分野で顕著な成果を挙げた研究者に贈られる国際腫瘍マーカー学会賞を受賞した。肝臓がんの早期発見につながる高感度測定法の確立などが評価された。

 岡山県内からの受賞は初めて。武田氏は「これまでの取り組みが評価されうれしい。がん検出だけでなく、予防活動にも力を入れたい」としている。

 武田氏は岡山大講師だった1980年、肝臓がん患者の血中で多くなるタンパク質・アルファフェトプロテイン(AFP)研究に着手。当時の課題はAFP測定の際、肝硬変などでも高数値を示すことがあり、診断精度が下がることだった。

 武田氏はAFPが持つ特殊分子に着目。がんと極めて高い関係の分子(L3)の高感度測定法を確立した上、がん検出につながる新しい分子(P4)も見つけた。L3測定法は保険適用となり、国内外で普及している。

 井原市立井原市民病院長をしていた2002年には、がん撲滅に功績があったとして山陽新聞社会事業団の「松岡良明賞」を受けた。

 国際腫瘍マーカー学会員の今井浩三札幌医科大学長は「肝臓がんは世界的に増えており、早期診断を可能にした武田氏の功績は大きい」と評価する。

 同学会は73年に発足し、世界50カ国の約300人の医師、研究者で構成。90年から学会賞を贈っており、受賞者は武田氏を含めて31人。贈呈式は10月8日、東京で行われる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年10月05日 更新)

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