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第50回 備前市立備前病院 地域の中核病院 急性期から介護まで 人工透析 細やかケア

専任スタッフが患者のケアに当たる人工透析室

一般病棟には多くのお年寄りらが入院しており、医師らが心の通った治療を行っている

 一九五四(昭和二十九)年、旧備前町、鶴山村など三町一村による組合立の結核病院として発足し五十五年の歴史を持つ備前病院は、地域住民にとってなくてはならない総合病院だ。

 五七年に内科病院として生まれ変わり、外科や放射線科などを次々に開設した。現在の診療科は十五科。高齢化に合わせ、病床数も徐々に増やし、一般病床(百床)は肺炎や脳 梗塞 ( こうそく ) 、糖尿病といった患者らで常に八割が埋まる。

 常勤医は内科、整形外科、脳神経外科の計七人。泌尿器科や皮膚科、放射線科などは岡山大病院(岡山市北区鹿田町)から派遣される医師が担当する。看護師は四十八人おり、十人の入院患者に一人の看護師を配置する基準を満たしている。

 備前地域では唯一の救急指定病院。毎年五百件前後の救急車搬送による患者を受け入れている。藤田保男院長は「決して多くのスタッフがいるわけではないが、一人一人が『地域の中核病院』との自覚を持ち、治療、看護などそれぞれの業務にまい進している」とする。

 市営の介護老人保健施設「備前さつき苑」(八十床)も併設されており、「急性期患者の治療から回復期、介護までの一貫したケアを提供できるのが強み」(同市)という。

 人工透析室(十三床)は、九五年の増築時に開設。腎不全患者にとって命綱となる人工透析治療は内科と兼務の医師二人に、専任の看護師四人、臨床工学技士三人の計九人のスタッフが支えている。

 現在は市内外から三十五人の患者が通院。日曜日以外の毎日治療を行っており、看護師らスタッフが看護や機器の調整に忙しそうに動き回る。

 片山弘室長は「スタッフを固定しているため、必然的に患者さんとは家族同様の付き合いになる。患者さんに信用、信頼してもらえるよう、きめの細やかなケアを心掛けている」と言う。

 山陽新幹線の線路新設や開業(七二年)に絡み、七〇年に現在地に移転した。全体的に老朽化が目立ってきたことから、建て替え計画が進んでいる。

 備前市によると、二〇〇九年度中に設計を行い、一〇年度から二年かけて病棟などを建設する計画という。

 藤田院長は「建て替えを機に、さらに快適で質の高い医療を提供したい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年04月27日 更新)

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