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血栓溶解剤24時間投与 脳卒中診療病院の35% 都市部集中 地域で格差 川崎医科大教授ら調査

木村和美教授

 脳梗塞(こうそく)の治療に有効な血栓溶解剤「tPA」を二十四時間態勢で投与できるのは、急性期の脳卒中診療に当たる病院のうち、岡山、広島、香川県の三十五施設を含む五百十九施設で約35%にとどまっていることが、川崎医科大の木村和美教授(脳卒中科)を班長とする厚生労働省研究班の十日までの調査で分かった。

 tPAは、発症三時間以内に投与すれば脳血管の血栓を溶かし、従来の薬と比べて高い治療効果が見込めるが、専門医不足などで地方の病院を中心に未整備な実態が浮き彫りになった。

 調査は昨年八―十月、全国の病院八千五百八十九施設(病床二十床以上)を対象に郵送方式で実施。四千六百九十施設から回答があった(回答率54・6%)。

 発症一週間以内の脳卒中を診療しているのは31・3%の千四百六十六施設。このうち、tPA治療を二十四時間いつでも実施できると答えたのは35・4%の五百十九施設(岡山県十二、広島県十四、香川県九)。所在地は都市部に偏るなど地域格差が見られた。

 tPA治療が可能な病院の割合は、脳卒中の専門医が六―十人いれば83・2%、十一人以上では100%と医師数に比例して高くなる傾向も判明。実施したくても、脳卒中専門医が少ない病院ではマンパワー不足に加え、専門的な知識が乏しいために態勢が取れていないのが現状という。

 木村教授は「専門医の少ない地方病院での脳卒中患者の受け入れ態勢を充実させるため、二〇〇八年度から携帯電話を使った遠隔治療システムの構築について検討したい」としている。



ズーム

 tPA 血中にあるプラスミノゲンというタンパク質を、血栓を溶かすプラスミンという酵素に変える働きを持つ。使用量の1割を静脈注射した後、残りを1時間かけて点滴する。脳出血などの副作用を伴うこともあり、治療対象は発症3時間以内▽CT(コンピューター断層撮影装置)検査で頭蓋(ずがい)内出血がないことなどを確認した場合に限られる。2005年10月、脳梗塞治療に保険適用された。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年02月11日 更新)

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