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第5回 国立病院機構岡山医療センター 負担の軽い手術・検査 カプセル内視鏡導入

長さ約2.5センチ、直径約1センチのカプセル内視鏡。先端にカメラが取り付けられている

カプセル内視鏡で撮影した画像を確認する山下医長

 高齢化社会への対策として岡山医療センターが取り組んでいるのが、患者の負担が軽い手術や最先端検査機器の導入だ。

 早期の肺がん治療では、医師が内視鏡が映し出す体内の様子をモニターで確認しながら病巣を切除する「 胸腔鏡 ( きょうくうきょう ) 手術」を取り入れている。従来は胸の側面を二十センチ程度切開していたが、胸腔鏡だと手術器具を差し込む数センチの穴を約三カ所開けるだけで済む。呼吸器外科の安藤陽夫医長は「術後十日前後で帰宅でき、九割の患者はこの方法を採用している」と話す。

 心臓から血液を勢いよく送り出す大動脈の血管壁の一部がこぶのようになる大動脈 瘤 ( りゅう ) でも、患者の負担を軽減した手術が主流。心臓血管外科の岡田正比呂医長らは、足の付け根を約五センチ切開し、そこから血管を拡張させるステントを患部へ送り込む方法で手術を行っている。

 一方、最新の検査機器を駆使するのは消化器科。原因不明の消化管出血や 腫瘍 ( しゅよう ) を検査するため、昨年八月に岡山県内初の「カプセル内視鏡」を導入した。長く曲がりくねり、通常の内視鏡で見るのは難しかった小腸の検査に威力を発揮するという。

 プラスチック製で、長さ約二・五センチ、直径約一センチ。患者が飲み込むカプセルの先端にカメラが取り付けられ、毎秒二枚ずつ撮影しながら胃、小腸、大腸へと移動していく。検査時間は約八時間で五―七万枚を撮影。医師数人が交代でチェックする。昨年十月に保険適用になり、自己負担額は約三万円。すでに三十人以上に検査した。

 山下晴弘医長は「画像も鮮明で、見ることが難しかった出血個所や表面が隆起した異常部分も発見できるようになった。患者の負担も軽く検査もしやすいので、今後も取り組んでいきたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年02月26日 更新)

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