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第32回 岡山第一病院 下肢静脈瘤日帰り手術 諸國理事長 工夫し痛み少なく

日帰り手術を行う諸國理事長

 心臓から送り出される血液は動脈を流れ、心臓へ帰る血液は静脈を走る。ふくらはぎの筋肉が収縮して心臓へ送り返すが、足の静脈は重力がかかり下へ流れようとするため、逆流を防ぐ弁が付いている。

 この弁が故障すると逆流した血液が静脈にたまり、うっ血しこぶのようになるのが下肢静脈瘤。筋肉と皮膚の間にある表在静脈はこぶが浮かび上がって見え、網目やくもの巣状になるケースもある。

 足がむくんだり、激しい痛みのあるこむら返しを起こし、潰瘍になることもある。最近、指摘されているのは血栓ができやすくなり、エコノミークラス症候群、肺 梗塞 ( こうそく ) 、肺動脈塞栓症など命取りになる重篤な病気を引き起こす。

 「妊娠、出産を機に発症する女性が多い。美的な面から治療を希望する患者さんもいるし、調理師、美容師、教師など立ち仕事の男性にも多い。痛みや肺梗塞など重い病気を予防する意味で治療を受ける人が増えている」

診断

 皮膚の上から超音波装置を当て、どこの弁が悪いか、血管を特定する。治療は血管を抜き取るか、血管内をふさぎ血流を防止するなどの方法を取る。

ストリッピング手術

 足の付け根を二センチほど切開し、壊れた弁のある血管を抜き取る。こぶのできる静脈は表在で、心臓へ帰る血流の九割は深部静脈を通るので、抜き取っても支障はない。手術は全静脈麻酔、低濃度浸潤麻酔で行う。約一時間で終わり、患者は歩いて病室へ帰れる。

 「通常は一週間の入院が必要だが、手術方法と麻酔の工夫により、痛みを少なくして日帰り手術を可能にした」と言う。日帰り手術は三年半で五百八例の治療実績を挙げている。

血管内レーザー治療

 壊れた弁のある血管内をレーザーで焼いて閉塞させる。ひざの近くの静脈から、光ファイバーを血管内に挿入しレーザーの熱で焼く。治療時間は二十分。治療実績は二百八十六例。「出血、痛みが少なく低侵襲、患者には楽な治療法。強く蛇行した血管などにはまだ適用できないが、光ファイバーの技術開発が進めば静脈瘤治療の主流になる」と話す。保険適用されず全額自己負担。

     ◇

 岡山駅前にクリニックを開設している。

「下肢静脈瘤日帰りセンター 諸國眞太郎クリニック」(岡山市錦町六ノ一七)。完全予約制(086―224―1313)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年10月28日 更新)

タグ: 心臓・血管

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