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(9)急性期病院での認知症看護認定看護師・特定行為看護師としての役割 津山中央病院認知症看護認定看護師 清水梨紗

認知症ケアサポートチームのラウンド風景

清水梨紗氏

 現在日本は超高齢社会を迎えており、2025年には5人に1人が認知症になるといわれています。近年は、認知症はだれもがなる可能性があると認識されつつあります。

 当院では、17年から認知症ケアサポートチームの活動を開始し、認知症を有する患者さんが安心して入院生活を送り、治療を受けることができるよう、医師、認知症看護認定看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、医療ソーシャルワーカーの多職種で入院生活のサポートをするとともに、認知症を有する患者さんに係るスタッフの相談に対応しています。

 当院に入院する認知症を有する患者さんは緊急入院の方も多く、身体的な状態の悪化に加えて、住み慣れた生活の場から病院という今までとは違う環境に生活の場が変わるので、病気による苦痛だけでなく、生活のしづらさを強く感じていることがあります。入院生活で患者さんが感じている生活のしづらさを少しでも軽減できるよう、認知症看護認定看護師として、認知症を有する患者さんの認知機能を正しく評価・分析し、普段の生活様式に配慮した看護を提供するよう心がけています。

 また、私は21年度に認知症看護分野における特定行為研修を修了しました。特定行為看護師とは、医師の包括的指示をもとに、医療行為を患者さんに実施する看護師のことをいいます。医療現場で働く看護師の現状は、医師から直接的に治療内容の指示を受けて、患者さんに点滴・薬剤の投与などの診療の補助を実施しています。

 特定行為看護師は、まず医師が患者さんの病態の変化を予測し、その予測した範囲内で起こった患者さんの病状に対して看護師がタイムリーに対応できるよう、医師から包括的指示(手順書)を受けておきます。そして日々患者さんの病状を適切に評価・分析し、病状が手順書の指示範囲内であれば、医師がその場にいなくても手順書により、患者さんに医療行為を実施することができます。

 入院している認知症を有する患者さんは、身体疾患に関連する痛みや苦痛を言葉で表現することが困難な場合が多くあります。身体的苦痛を表現できず重症化することがないよう、研修で学んだ医学的知識をベースとした看護実践をいかして、認知症を有する患者さんの感じている苦痛を適切にくみ取り、治療につなげ、早期に住み慣れた地域へ退院することを目指します。

 特定行為看護師は、専門分野の特定行為研修を修了し、これからの地域医療を支えることができる高度かつ専門的な知識と技術を身につけています。私は、日々の看護の関わりの中で、特定行為を含んだ医療・看護を提供するとともに、患者さんを第一に考え、常に患者さんに寄り添いながら、安心して療養ができるよう支援していきます。

     ◇

 津山中央病院(0868―21―8111)

 しみず・りさ 津山東高校看護科専攻科卒業。2014年、津山中央病院に入職し、脳神経外科・内科病棟にて勤務。21年に認知症看護分野における特定行為研修修了。22年に認知症看護認定看護師取得。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2023年02月06日 更新)

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