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(1)活動的な生活で健康づくりを 笠岡第一病院付属診療所 健康増進クラブONE 健康運動指導士 石部豪

石部豪健康運動指導士

トレーニングマシンを用いた変形性膝(しつ)関節症患者に対する加速度トレーニング

変形性脊椎症患者の安定化能力の向上トレーニング指導

 わが国は言わずと知れた長寿国で、今年7月の厚生労働省発表による「平均寿命」は、男性79・9歳で過去最高を更新し、女性86・4歳で2年ぶりに世界1位の座に返り咲きました。まさに世界有数の長寿国です。

 介護を受けたり、寝たきりになったりしないで自立して健康的な日常生活を送れる期間である「健康寿命」と平均寿命の差をみると、自立して生活できない年数(=不健康な期間)は女性の方が長いです。これは女性が男性に比べて筋肉量が少なく、骨粗しょう症などの疾病にも罹患(りかん)しやすいことなどが考えられます。今後、平均寿命の延びに伴い、この「不健康な期間」が拡大すれば、医療費や介護給付費は増大してしまいます。平均寿命と健康寿命の差を短縮することができれば、個人の生活の質(QOL)の低下を防ぐとともに社会保障負担の軽減も期待できます。2011年から実施されている厚生労働省の「Smart Life Project(スマートライフプロジェクト)」、2013年度から開始された健康日本21(第2次)の中にも、国民の生活習慣改善、健康寿命の延伸が盛り込まれています。生活の質を重視し、平均寿命よりも健康寿命を延ばすことを考えなければいけません。

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 そこで重要とされるのが、「身体活動・運動」です。オートメーション化された現代生活の中では、身体活動・運動を行うことに目を向けて、その時間を自らつくり、生活に取り込むことで活動的な生活を送ることが必要です。そうした生活習慣の改善、疾病の予防を目的に身体活動・運動を行うための「健康増進クラブONE」という厚生労働大臣認定の健康増進施設が、笠岡第一病院付属診療所(笠岡市二番町)内にあります。

 厚生労働大臣認定健康増進施設は、厚生省(1987年当時)により創設され、運動を安全かつ効果的に行える場として全国に364施設あり、運動指導の専門家である健康運動指導士が個人に最も適した運動プログラムの作成および指導を提供する施設です。

 笠岡第一病院の「健康増進クラブONE」は約470平方メートルの運動施設に有酸素運動マシン、筋力強化マシン、運動フロアなどが完備されています。中学生以上の一般の方で300円から、70歳以上の方で200円から利用が可能です。現在、利用者の6割は女性で平均年齢は64歳。7歳から89歳と年齢層は幅広いです。利用者の多くは高血圧、糖尿病、腰痛、膝痛などの疾病をお持ちで、対症療法と同時にリハビリテーションや介護予防のため運動療法・予防医療としての利用があります。19の診療科、14の専門外来がある医療法人社団清和会「笠岡第一病院」(笠岡市横島)、笠岡第一病院付属診療所、介護老人保健施設「瀬戸いこい苑」(同所)等の医療・介護機関と、電子カルテシステムによりネットワーク化されているため、必要に応じて医療情報の共有や複数の職種のスタッフから専門性を生かした助言もできます。医療機関との連携が密な特徴から、血液透析療法を実施している患者の皆さま、小児科受診の患者の皆さま(肥満児運動指導等)など医療依存度の高い方々も安心して運動を行える場として、健康スポーツ医との連携を取りながら健康運動指導士3名が指導にあたっています。

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 運動不足による不活発な生活は、健康・体力づくりの課題でもある「生活習慣病の問題」「子どもの体力低下」「要介護者の増加」へとつながるものです。最近では流行的に“健康のため”とウオーキングやランニングを行われている方もおられると思います。不活発な生活から卒業するためには大変喜ばしいことですが、足腰の筋力を効果的につけるためには少し不向きな運動です。今後、効果的な運動を紹介しますので、実践してみましょう。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年08月19日 更新)

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