妊婦さん、子育て中のママへ 治療法や日常生活での注意点解説
「あな痔」ってなぁに?
『肛門周囲膿瘍』『痔瘻(ろう)』のことをいいます。
肛門周囲膿瘍とは
多くは、肛門の近くにある肛門小窩(粘液を分泌する肛門腺が開く所)から細菌が侵入して炎症を起こし、肛門周囲に膿瘍(ウミのたまり)をつくる病気で痔瘻の前段階と考えられます。
痔瘻とは
肛門周囲膿瘍がふくれて広がって、肛門周囲の皮膚や直腸が自然に破れたり、排膿(ウミを出す)のための切開のあとで、肛門と肛門周囲の皮膚や直腸との間に瘻管(トンネル)を作った状態です。
型分類
Ⅰ.皮下または粘膜痔瘻
肛門の粘膜下および皮下の浅い部位にできる
Ⅱ.内・外括約筋間痔瘻
内括約筋と外括約筋の間にできる
肛門側にできるものと直腸側にできるもので最も頻度の多いタイプ
Ⅲ.肛門挙筋下痔瘻
肛門挙筋の下で坐骨と直腸の間にできるもの
Ⅳ.肛門挙筋上痔瘻
肛門挙筋の上にできるものでまれ
診断について
問診、視診、直腸肛門視診を行います。深部に及んでいたり、複雑な場合にはCT、MRI、超音波、ろう孔造影などの画像診断や血液検査を行います。
治療について
原則的にウミを外に出す切開排膿処置で、特に浅部の病変では切開排膿だけで炎症が落ち着き、根治手術が不要なこともあります。
一時的に炎症が落ち着いても再発、再燃を繰り返す場合には根治手術が必要になります。
手術療法
トンネルのできた場所や形によってケースバイケースです。基本的には痔瘻のトンネル(瘻管)の入り口から肛門側の組織を完全に開放、切除する方法です。
この方法では、瘻管の深い部位によっては、肛門括約筋が傷ついて、痔瘻が治ったあとで、肛門が引きつれたり締まりが悪くなってしまうことがあります。
そのため、痔瘻のタイプによっては、括約筋をなるべく傷つけないようにしながら、瘻管を切除する括約筋温存手術を行います。
簡単な痔瘻を切りすぎないように、また、中途半端な手術で痔瘻を再発させないような専門的技術が要求されます。
予防法
特別なものはありませんが、肛門を清潔に保ち、アルコールの多飲や暴飲、暴食を避け、便通を整えるように普段から心がけたいものです。
治療を怠ると、複雑な痔瘻になって治療に難渋したり、まれですが、敗血症になって命に関わる場合もあります。
特に、糖尿病など基礎疾患がある人は注意が必要です。
肛門の違和感、発熱など認めたら早めに専門医を受診されることをお勧めいたします。
痔瘻の奥に、直腸がんやクローン病(原因不明の炎症性腸疾患)などが隠れていることもあるからです。(チクバ外科・胃腸科・肛門科病院 根津真司外科部長)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。
『肛門周囲膿瘍』『痔瘻(ろう)』のことをいいます。
肛門周囲膿瘍とは
多くは、肛門の近くにある肛門小窩(粘液を分泌する肛門腺が開く所)から細菌が侵入して炎症を起こし、肛門周囲に膿瘍(ウミのたまり)をつくる病気で痔瘻の前段階と考えられます。
痔瘻とは
肛門周囲膿瘍がふくれて広がって、肛門周囲の皮膚や直腸が自然に破れたり、排膿(ウミを出す)のための切開のあとで、肛門と肛門周囲の皮膚や直腸との間に瘻管(トンネル)を作った状態です。
型分類
Ⅰ.皮下または粘膜痔瘻
肛門の粘膜下および皮下の浅い部位にできる
Ⅱ.内・外括約筋間痔瘻
内括約筋と外括約筋の間にできる
肛門側にできるものと直腸側にできるもので最も頻度の多いタイプ
Ⅲ.肛門挙筋下痔瘻
肛門挙筋の下で坐骨と直腸の間にできるもの
Ⅳ.肛門挙筋上痔瘻
肛門挙筋の上にできるものでまれ
診断について
問診、視診、直腸肛門視診を行います。深部に及んでいたり、複雑な場合にはCT、MRI、超音波、ろう孔造影などの画像診断や血液検査を行います。
治療について
原則的にウミを外に出す切開排膿処置で、特に浅部の病変では切開排膿だけで炎症が落ち着き、根治手術が不要なこともあります。
一時的に炎症が落ち着いても再発、再燃を繰り返す場合には根治手術が必要になります。
手術療法
トンネルのできた場所や形によってケースバイケースです。基本的には痔瘻のトンネル(瘻管)の入り口から肛門側の組織を完全に開放、切除する方法です。
この方法では、瘻管の深い部位によっては、肛門括約筋が傷ついて、痔瘻が治ったあとで、肛門が引きつれたり締まりが悪くなってしまうことがあります。
そのため、痔瘻のタイプによっては、括約筋をなるべく傷つけないようにしながら、瘻管を切除する括約筋温存手術を行います。
簡単な痔瘻を切りすぎないように、また、中途半端な手術で痔瘻を再発させないような専門的技術が要求されます。
予防法
特別なものはありませんが、肛門を清潔に保ち、アルコールの多飲や暴飲、暴食を避け、便通を整えるように普段から心がけたいものです。
治療を怠ると、複雑な痔瘻になって治療に難渋したり、まれですが、敗血症になって命に関わる場合もあります。
特に、糖尿病など基礎疾患がある人は注意が必要です。
肛門の違和感、発熱など認めたら早めに専門医を受診されることをお勧めいたします。
痔瘻の奥に、直腸がんやクローン病(原因不明の炎症性腸疾患)などが隠れていることもあるからです。(チクバ外科・胃腸科・肛門科病院 根津真司外科部長)
(2015年10月26日 更新)
タグ:
女性、 消化器・肝臓・胆嚢・膵臓・おしり