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乳がん検診に岡山県独自指針 市町村への普及課題 40歳超は毎年X線併用 膨らむ財政負担ネックに

 岡山県は、乳がん検診について国よりも検査頻度を高めるなどした独自指針をつくり、本年度から市町村に実施を呼び掛けている。がん発見率の向上が狙いだが、普及には市町村の一層の財政負担が大きな課題となっている。

 乳がん検診は、医師が乳房を触った感触で見つける視触診が一般的だったが、近年は専用のエックス線装置(マンモグラフィー)が徐々に普及。国は二〇〇四年、三十~四十代に年に一度実施していた視触診に代え、四十歳以上を対象に二年に一度、視触診とマンモグラフィーを併用する指針を定めた。

 これに対し県は同年、三十歳以上の視触診を従来通り続け、四十歳以上ではマンモグラフィーを併用して毎年行うよう独自の指針を決めた。三十代から四十代半ばにかけて罹患(りかん)率が高まることや、県医師会の協力で医師に対し開いている視触診研修で、視触診のがん発見率が向上しているためだ。

 県によると、人口千人当たりの乳がん発見率(〇三年度)は、視触診単独の場合、一・二七人(全国平均一・二五人)、マンモグラフィー併用の場合、二・七六人(同二・一八人)になる。

合併の影響も

 県指針の実施へ、愛育委員らがきめ細かい周知に努めているが、大きなネックは実施主体の市町村の財政負担だ。

 県の調査では、マンモグラフィー併用の場合、一人当たり一回の費用は四千五百~五千円。個人負担は五百~二千五百円で、残りは自治体の持ち出し。県指針通りに行えば検診回数が増え、自治体負担がさらに膨らむ。昨年、県が当時の七十八市町村を対象にしたアンケートでは、二十四市町村が「県指針通りの毎年実施は困難」と答えた。

 岡山市もその一つ。五十~六十四歳を対象に二年に一度マンモグラフィー検診を行っているが「四十歳以上のマンモグラフィーを隔年で実施するよう変更したい」とする。

 合併前の市町村の受診率が、自治体の熱意や、個別検診か集団検診かといった形態に左右され、数%から一〇〇%近くまでばらつきがあったことも、円滑な普及を阻む要因の一つ。新見市が「本年度は旧阿哲郡四町域でしかマンモグラフィー検診ができなかった」というように、旧自治体の体制がそのまま引き継がれているケースも多いとみられる。

検診車3台だけ

 さらに、医療機関が少ない市町村の多くが検診車による集団検診に頼ってきたが、マンモグラフィーを備えた検診車は岡山、備前市の医療機関などが所有する三台しかなく、需要に応えきれていない面もあるという。

 二宮忠矢県健康対策課長は「どの程度、県指針を実施したか、市町村の実態把握をしたい。自治体には財政負担となるが、長い目で見れば医療費抑制につながる」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年09月26日 更新)

タグ: がん健康女性医療・話題

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