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岡山市 認知症の人に伴走型支援 高齢者施設窓口 暮らしサポート

 岡山市は、地域の高齢者福祉施設が認知症に関する相談の窓口となり、本人と家族の暮らしをサポートする伴走型支援事業を2024年度からスタートさせる。市内の特別養護老人ホームやグループホームから2事業所を選び、モデル拠点に指定。適切なアドバイスを行うほか、福祉・医療サービスにつなぐ。

 認知症の人が尊厳や希望を持って暮らせる共生社会実現に向けた認知症基本法の施行(1月)を受けた対応で、県内では初の取り組みという。認知症の相談は地域包括支援センターなどで受け付けているが、普段から認知症患者に接する機会が多い職員がいる高齢者福祉施設を窓口に加え、体制を拡充する。

 支援事業では、認知症関係の研修を修了していたり資格を持っていたりする職員が対応。「認知症について詳しく知りたい」「介護のストレスに悩んでいる」「患者との接し方が分からない」など、本人や家族から寄せられる相談に助言する。

 継続的に症状の進行や介護状況を見守るほか、医療・福祉サービスを仲介する地域包括支援センターや、患者や家族が触れ合う認知症カフェを必要に応じて紹介。本人や家族に限らず、現場を知りたいケアマネジャーや住民を支える民生委員らにも対応する。

 今夏をめどにモデル拠点となる事業所を決定。相談の持ちかけ方や施設側の対応日時など詳細は今後詰める。モデル拠点で効果を見極め、25年度以降、市内6福祉事務所の管内に各1カ所の整備を目指す。24年度当初予算に委託料など300万円を計上している。

 市高齢者福祉課によると、23年9月末時点の市内の認知症高齢者は約2万6千人。40年には約3万2千人に増加する見通しで「住み慣れた地域で自分らしく生活できるように伴走型支援事業で息の長いサポートを行う。症状が疑われる初期段階の不安解消にもつなげたい」としている。

 認知症 さまざまな脳の病気が原因で神経細胞の働きが悪化し、認知機能が低下している状態。脳出血や脳梗塞によって起こる脳血管性のほか、レビー小体型、前頭側頭型などがある。最も多いアルツハイマー型では異常なタンパク質が脳に蓄積し、物忘れや判断力の衰えといった症状が現れる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2024年04月02日 更新)

タグ: 福祉

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