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筋肉をつける食事のコツ サルコペニア予防・改善 岡山旭東病院 管理栄養士 本郷歩美

ほんごう・あゆみ 岡山大安寺高、ノートルダム清心女子大卒。2003年7月から岡山旭東病院に勤務。管理栄養士、病態栄養専門師、糖尿病療養指導士、NST専門療養指導士。

 「サルコペニア」という言葉をご存じでしょうか。最近TVなどのメディアでも取り上げられるようになり、耳にした方もおられるかもしれません。医療現場でも近年関心が高まっている分野です。ギリシャ語で「サルコ=筋肉」「ぺニア=低下・減少」の意味となります。加齢による、筋肉減少症を意味します。

 このサルコペニアは高齢化が進む日本で、今深刻な健康問題となり得ます。筋肉の低下は、歩行機能障害や転倒による骨折を引き起こし、寝たきりにつながる可能性があるからです。

 サルコペニアの明確な診断基準はまだ確立されていませんが、筋肉量・筋力(握力)・身体能力(歩行速度)を総合的にみて判断します。自覚症状としては、歩幅の短さを感じたり、短い信号が渡りきれないなどが分かりやすいかと思います。また、ご自宅の体重計が筋肉量の測れるものでしたら、女性22%未満、男性27・3%未満を目安にしてください。他のチェック方法としては(1)両手を胸の前に組んで座り、その後片足で立ち上がれるか(2)片足で靴下がはけるか(3)片足立ちで60秒キープできるか、セルフチェックしてみてください=図1参照

 サルコペニアを予防・改善するには筋肉をつける運動と食事が大切です。食事は第一には“バランスの良い食事”が大切です。バランスの良い食事とは、主食・主菜・副菜がそろって、さまざまな食品からの栄養素を摂(と)ることです=図2参照

 特に、筋肉と関わりがあるのは、人が体から作りだすことのできない栄養素である必須アミノ酸の一つ「BCAA」です。スポーツ飲料に含まれている商品も販売されているため、BCAAと聞いてピンと来た方もおられるかもしれません。BCAAは、バリン・ロイシン・イソロイシンの3種を意味し、その働きは(1)筋肉のエネルギー源になること(2)筋肉を作ることです。牛乳・乳製品、肉、魚、卵などに多く含まれています。

 1日の目安は1500〜2000ミリグラムとされ、前述した“バランスの良い食事”をきちんと摂っていれば実は不足することはありません。筋肉をつけるポイントとしては、(1)食事の前後30分に運動を取り入れること(2)さらなる筋力アップを目指す場合は市販のBCAA食品を有効利用することです。市販品はBCAAを強化しており、2000〜4000ミリグラムを低カロリーで一度に摂取できます。

 2000ミリグラム以上を摂り、30分〜2時間の間に運動をすると筋肉量が確実にアップするというデータも出ています。

 今後もメディアに取り上げられるであろう注目度の高いサルコペニアですが、基本は“3食バランス良く”という原則を守って、健康な体を手に入れましょう。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年04月21日 更新)

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