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新型インフル発生シミュレーション 岡山県内 不安軽減へ一定情報 集会、催し自粛県民生活に制約

県内の発熱相談センター(表)

 世界で拡大する新型インフルエンザを受け、岡山県内の行政・医療機関でも患者発生に備え緊張が高まっている。国内初の感染が疑われた横浜市の男子生徒(17)は1日、Aソ連型であることが判明したが、県内で同様のケースが発生した場合、患者の受け入れはどうなるのか。県民生活への影響は―。想定される対応をシミュレーションした。

 県が設置する発熱相談センターなどを通じて感染の疑いがある患者が分かった場合、高熱や咳(せき)など特徴的な症状、簡易検査結果、渡航歴などを踏まえて公表される。プライバシー保護の一方で、推定される感染経路など一定の情報をオープンにしなければ、県民の不安が助長されかねないためだ。

 横浜市の男子生徒は居住する市町村名、年齢、性別のほか、カナダに研修旅行に行ったことなどが明らかにされており、県内での発生時もほぼ同様の内容になる見通し。

 ウイルスは県環境保健センター(岡山市)で本格的な検査を行う。近く国立感染症研究所が開発した検査試薬が届く見込みで、センターによると8時間程度で結果が出るという。

 治療に効果があるとされるタミフルは県が16万2000人分を備蓄。感染者が県内で拡大したとしても「十分対応できる量」としており、病院の薬が足らなくなれば、要請に基づき提供していく。

 県内で感染者が確認されると、県民生活への制約も出てくる。拡大を防ぐため、不特定の大勢の人が集まる集会やイベントは開催自粛を要請。県民には不要な外出を控えるよう啓発にも力を入れる。

 学校園を休校にするかどうかは、難しい判断を迫られそうだ。県の新型インフル行動計画は強毒性の鳥インフルエンザを想定。県内一斉に最大2カ月の休業が掲げられているが、授業に大きな影響を及ぼすことになる。今回の新型インフルは弱毒性との指摘があるだけに、県教委は「発生した際の状況を的確に把握して保健福祉部門と連携しながら決めたい」と慎重な考えを示している。

初期は4病院で対応 入院し詳しく検査

 県内で新型インフルエンザが疑われる患者が初めて確認されると、第1、2種感染症指定医療機関の岡山大病院(岡山市)、岡山市立市民病院(同)、倉敷中央病院(倉敷市)、津山中央病院(津山市)のいずれかに入院し、治療を受ける想定になっている。

 ウイルスの“上陸”を阻止する水際対策を行う岡山空港(岡山市)では帰国者や入国者をサーモグラフィーや質問票でチェック。咳(せき)や発熱がみられ、感染が疑われる人には簡易検査を実施する。新型の疑いがある「A型」患者が出た場合、自宅待機と県や保健所への速やかな相談を促す。

 患者本人や家族らから、発熱相談センターへの電話連絡で判明するケースも想定される。

 「いずれの場合も県職員が病院に連絡し、相談者に受診すべき病院を通知する。その後、可能な限り公共交通機関を使わず病院に向かってほしい」(県健康対策課)という。

 第二種感染症指定医療機関・岡山市立市民病院では、スタッフが救急入り口で待機。ビニールで覆われ、ウイルスを拡散させない陰圧装備が付いた車いすで患者を緊急診察室(西館1階)に移動させ、医師や看護師らが診察する。

 空港などの簡易検査を経ていない人が、ここの検査で新型の疑いがある「A型」と判断されれば、陰圧が可能な感染症病床に入院。タミフル投与などの治療を受けながら、県や国の検査機関による詳しい結果を待つことになる。

 同病院は当面、感染症病床(3部屋6床)のうち、2部屋2床を新型インフルエンザ患者に充てる方針。「疑いの段階では新たな感染を防ぐため、2人の患者を同室にはしない」としている。

 県内で新型インフルエンザの確定診断が数例下されるなどした場合、20数カ所程度の医療機関で発熱外来が設置される見込み。患者は同外来で診察してもらい、重篤な患者は病床に空きがあれば入院し、軽症ならば薬を処方してもらって、自宅での療養が指示される。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年05月02日 更新)

タグ: 健康医療・話題感染症

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