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障害医療に理解を 自立支援法の成立前に「研究会」設立 岡山、広島などの施設や病院代表 現状、課題探る

障害児・者の医療特性などについて論議を深めた第1回障害医療研究会

 8月の衆院解散で廃案となった障害者自立支援法案が今国会で成立する見込みが濃厚な中、医療界全体に障害児・者医療への理解を広めようと、社会福祉施設旭川荘(岡山市祇園地先)の江草安彦理事長らが発起人となり、「障害医療研究会」を設立した。

 岡山、広島県など西日本を中心に、重症心身障害児施設や病院の代表らで結成。まずは障害医療の特性や法案の問題点などをテーマに、議論をし、現状や課題について認識を深める。

 八月下旬に岡山市内で開かれた初会合には会員ら約四十人が参加。まず、江草氏が「一般医師に障害者医療について十分認識してもらわないと、障害者の生活を地域社会の中に広げようという障害者自立支援法案は絵にかいたもちになる」と訴えた。

 厚生労働省の塩田幸雄政策統括官は身体、知的、精神障害者への福祉サービスを一元化し、同時に障害者に費用の一割負担を求める障害者自立支援法案が廃案になった経緯などを説明。「国会で障害医療は十分議論されているとはいえない。法案再提出に向け、意見交換し問題点を寄せてほしい」と述べた。

 同法案について、川崎医療福祉大の岡田喜篤学長は「条文は、新しい用語が数多く使われ難解。『自立』『地域』などの用語の意味があいまいで、どのようにも理解される」と条文自体の問題点を指摘。「障害者施設で十八歳以上が入所できるのは重症心身障害児施設しかなく、同法ができると入所希望者が殺到する可能性が高い」と語った。

 これに対し、国立病院機構福岡病院(福岡市)の西間三馨院長は「比較的軽症な重症心身障害者は経済的負担から、施設を退所せざるを得ない」とし、かなりの施設で入所者数が減少していくとの見方を示した。

 広島市民病院(広島市中区基町)の岡崎富男院長は「他で超重症心身障害児を受け入れてくれる施設がなく、重症の新生児が救命されるようにもなり、新生児集中治療室に長期入院する症例が増加している」と説明。そのため病床が不足し、一年以上の入院児の疾患では先天奇形や慢性肺疾患が目立っていることなどを報告した。

 鳥取県立総合療育センター(米子市)の北原佶院長は、全国で肢体不自由児の入所施設(二〇〇四年六十三カ所)は漸減する一方、通園施設(〇五年百四カ所)や重症心身障害児施設(〇四年百八カ所)は増加傾向と指摘。「肢体不自由児施設は肢体不自由児だけでなく障害児全般の総合病院、子どものリハビリテーション病院的な役割を果たしている」とした。

 同研究会は議論や学習の内容を国にも伝える予定。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年10月01日 更新)

タグ: 健康介護福祉医療・話題

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