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ハンセン病元患者支援「ゆいの会」 ボランティア不足苦慮  隔離“断罪”判決から4年 養成講座生が減少 関心低下に危機感

ゆいの会が開いた長島愛生園入所者との交流会=4月24日、岡山市撫川のRSKバラ園

 岡山県内のハンセン病元患者の社会交流を支援する「ゆいの会」が、ボランティア養成に苦慮している。6月からの講座の応募者は定員の3分の1。国の隔離政策を断罪した熊本地裁判決に対し、政府が控訴断念して23日で4年。同会や元患者は「ハンセン病問題への関心が低くなっているのでは」と危機感を募らせている。

 ゆいの会が四月二十四日に行ったバス旅行。RSKバラ園(岡山市撫川)でバーベキューパーティーや庭園の散策を楽しみ、元患者とボランティアが交流を深めた。

 参加した日野三郎さん(73)は「療養所に引っ込みがちな高齢の入所者にとって、ボランティアとの外出は精神的な支え」とし、ボランティアの吉備国際大三年井本慎一さん(20)は「入所者の方々が喜ぶのを見て自分も元気づけられた。ゆいの会がなければ、このような経験をすることもなかったと思う」と意義を話す。

 同会は、瀬戸内ハンセン病訴訟の弁護団らが中心となり二〇〇三年に活動を始めた。高齢化などで元患者が療養所を退所して社会復帰することが困難な中、長島愛生園(瀬戸内市邑久町虫明)と邑久光明園(同)の入所者を対象に、外出支援などで社会交流を進めている。

 外出支援や療養所でのイベント補助などを行うボランティアの養成は過去三回実施。〇三年に熊本県のホテルが元患者の宿泊を拒否した問題が注目を集めたことなどから反響を呼び、毎回三十人の定員を集めていた。

 しかし、六月に開講する第四回講座の応募者は、二十二日現在で十一人。窓口の倉敷ボランティアセンターには、問い合わせの電話は多くかかってくるが「実際ボランティアとして活動できるか不安で、参加をためらう人が多い」という。

 これまでに受講した約九十人のうち、ボランティアとして登録しているのは大学生、主婦、仕事を退職した人ら六十人。実際に活動できる人はさらに少ない。長島愛生園歴史館の来場者を案内するボランティアは土曜、日曜のうち約半分しか派遣できておらず、足りていないという。

 瀬戸内訴訟の弁護団事務局長で、ゆいの会の近藤剛会長は「ハンセン病の正しい理解を深めるためにもボランティアは必要。特別な技術はいらないので気軽に養成講座に参加してほしい」と呼び掛けている。

 第四回講座は六月四日から二十六日まで週一回。くらしき健康福祉プラザ(倉敷市笹沖)で医学や歴史の講義、長島愛生園で入所者との懇談なども行う。受講料二千円。問い合わせは倉敷ボランティアセンター(086―434―3350)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年05月23日 更新)

タグ: 高齢者福祉医療・話題

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